糖尿病という病気は、治療に時間がかかる慢性疾患です。適切な治療や食事療法などを行わなければ重篤化するほど危険性が高い病とされています。血糖値がさほど高いとは言えないケースでも、初めて糖尿病と診断された患者さんへの指導を誤ると、その後の経過に重大な悪影響を与えるおそれがあります。しかし、糖尿病専門医は患者数に対して不足しているため、糖尿病専門外来は常に飽和状態にあると言えるでしょう。そこで、糖尿病専門医以外の医師との病診連携が必要とされているのです。

患者さんのかかりつけ医師が専門医を紹介し、専門医はかかりつけ医の協力を得ながら診療を行うシステムを構築することが求められています。連携が必要なのは専門医と他科の医師の間だけではありません。看護師をはじめ、管理栄養士や理学療法士などのスタッフとの連携も欠かせないのです。糖尿病治療で患者さんが自分で行うインスリン注射や合併症予防の指導には、糖尿病に関する専門的な知識とスキルが不可欠ですが、こうした細かい指導を医師だけで行うことはほとんど不可能でしょう。

このような指導を行うのは、糖尿病療養指導士や糖尿病看護認定看護師など、糖尿病治療の知識やスキルを備えた医療スタッフになります。糖尿病の治療では、他の疾患に比べて、多くの医療スタッフ同士の連携が求められるのも特徴です。糖尿病治療に関わるスタッフが統制の取れた指導を行うことができれば、患者さんが医療スタッフを信頼し、治療に対して安心感を抱くことができ、よりスムーズに治療を進められることでしょう。